OpenAIのGPT-6ファミリーには、性能と価格が異なる3つのモデルがあります。Astraは最も強力で、100万入力トークンあたり10ドル、出力は50ドルです。Solはバランス型のティアで2ドルと10ドル、Lunaは最も安価で10セントと50セントです。最上位と最下位のコスト差は100倍に達します。実用的なルールはこうです。分類や情報抽出など指示が明確な反復タスクにはLuna、コーディングや文書分析など判断力を要する作業にはSol、そして相反する制約を抱え、ミスのコストがモデル自体の費用を上回る複雑な問題にはAstraを使います。

なぜ名前が変わったのか、Terraはどこへ行ったのか

前世代を追ってきた人にとって、ここが最も混乱しやすい点です。GPT-5.6ファミリーには3つのティアがあり、最上位がSol、中位がTerra、最下位がLunaでした。GPT-6ではそのすべての上にAstraという新しい名前が加わったため、Solは一段階下がって中位のティアになり、Lunaは最下位のままで、この記事の執筆時点でOpenAIはGPT-6 Terraをまったくリリースしていません。

つまり、同じ名前でも世代が変われば位置づけは同じではありません。GPT-6 Solは実質的にSolではなくTerraの後継です。価格がそれを裏付けています。GPT-5.6 Terraは入力2ドル、出力12ドルで、GPT-6 Solは現在2ドルと10ドルと、ほぼ同じ価格帯です。5.6 Solから6 Solへ、同じレベルにとどまると思ってアップグレードした人は、実際には価格面で一段階下がっており、以下の数値が示すとおり、一部のコーディング能力でも下がっています。

簡単なタイムライン

  • 2026年6月26日:Sol、Terra、Lunaを含むGPT-5.6ファミリーが発表されました。こちらで取り上げています。
  • 2026年9月3日:GPT-6 Astraがリリースされ、9月5日に公開APIで利用可能になりました。
  • 2026年9月22日:GPT-6 SolとGPT-6 Lunaがリリースされ、5.6の対応モデルと比べて入力価格が50%引き下げられました。

完全な料金表

リリース時に公表された、100万トークンあたりの米ドル価格です。

モデル入力キャッシュ済み入力出力Batch(入力/出力)272Kを超えるロングコンテキスト
GPT-6 Astra10.001.0050.005.00 / 25.0020.00 / 75.00
GPT-6 Sol2.000.2010.001.00 / 5.004.00 / 15.00
GPT-6 Luna0.100.010.500.05 / 0.250.20 / 0.75

サウジアラビア・リヤルに換算すると、100万入力トークンはAstraで37.5 SAR、Solで7.5 SAR、Lunaで0.375 SARです。

この表のうち3つの点は、モデルの選択そのものよりも請求額を大きく左右します。

  • キャッシュは諸刃の剣:キャッシュ済みのプレフィックスを読み込むコストは通常の入力料金の10%ですが、初回にキャッシュへ書き込むコストは通常料金の1.25倍です。同じプレフィックスが頻繁に繰り返される場合は節約になり、一回しか使わない場合は余計にかかります。
  • 272Kトークンのしきい値:これを超えたリクエストは、超過分だけでなくリクエスト全体がロングコンテキスト料金で課金されます。入力料金は2倍、出力は約1.5倍です。
  • Batch APIは50%割引になり、夜間レポート、アーカイブの分類、再インデックスなど、即時の応答を必要としないあらゆる処理に適用されます。

3つのモデルに共通する点

仕様AstraSolLuna
コンテキストウィンドウ1,050,000トークン1,050,000トークン1,050,000トークン
最大出力128,000トークン128,000トークン128,000トークン
入力テキストと画像テキストと画像テキストと画像
知識のカットオフ2026年4月30日2026年4月20日2026年5月18日
APIのモデルIDgpt-6-astragpt-6-solgpt-6-luna

3つとも関数呼び出し、ウェブ検索、ファイル検索、コンピューター操作に対応しており、出力はいずれもテキストのみです。違いは何に接続できるかではなく、推論の深さとそのコストにあります。

数字で見る性能

公式のリリース時評価における各モデルの最高スコアです。

ベンチマーク(測定対象)AstraSolLuna
AutomationBench:業務ワークフローの自動化41.4%33.2%20.7%
DeepSWE v1.1:ソフトウェアエンジニアリング74.1%68.8%66.6%
Agents Last Exam:長期的なタスクをこなすエージェント59.3%56.4%50.9%
FrontierCode 1.1:既存プロジェクトへのコード統合53.3%49.3%42.4%
OSWorld 2.0:コンピューターとインターフェースの操作73.5%64.4%52.7%

タスクの自律性が高まるほど差が広がる点に注目してください。コーディングではSolとLunaの差は二ポイント(68.8対66.6)ですが、コンピューター操作では差が11.7ポイント(64.4対52.7)に跳ね上がります。本当の問題はどのモデルが一番賢いかではなく、タスクがモデルにどれだけの自由を与えるかです。

意外な点:新しいほど強いとは限らない

前世代と共通する2つのベンチマークでは、GPT-6 SolのスコアはGPT-5.6 Solを下回っています。DeepSWEでは68.8%対72.7%、OSWorldでは64.4%対66.2%です。FrontierCodeでは1.8ポイント上回っています(49.3%対47.5%)。本当の違いは請求額にあります。DeepSWEのタスク一件あたりのコストは、新モデルで2.74ドル、旧モデルで6.46ドルです。

コーディングの表には表れないものの、一般企業にとって最も重要な改善がひとつあります。推論レベルxhighでの事実誤り率が、前世代の10.8%から4.5%に下がったことです。OpenAIはこれを次のように説明しています。GPT-6 Solのミスは前モデルの約半分で、はるかに低いコストでAstra並みの信頼性に達している。実務的には、社内文書をもとに従業員や顧客の質問に答えるアシスタントを運用しているなら、違いを実感できるでしょう。複雑なコーディングエージェントを運用しているなら、アップグレードしても何も得られないかもしれません。

LunaがSolに勝つのはどんなときか

5つのエージェント系グラフのうち4つで、最大レベルのLunaが低レベルのSolを上回り、しかもコストはより低くなっています。最もわかりやすい例はDeepSWEで、Lunaはタスク一件あたり0.22ドルで66.6%に達する一方、Solがほぼ同じスコアに達するにはまるまる一ドルかかります。AutomationBenchでは、Lunaのタスクが4セントであるのに対し、Solは27セントです。ここからルールが導かれます。Solをどの設定で試すよりも先に、Lunaをmaxで試してください。

推論レベル:誰もが忘れがちな設定

各モデルはnone、low、medium(デフォルト)、high、xhigh、maxの6つのレベルに対応しています。この設定ひとつを変えるだけで、モデルを変えずに請求額が2倍にも半分にもなります。

  • コーディング以外の作業でのSol:xhighで止めましょう。maxはコストが24%高く、AutomationBenchのスコアも低くなります。
  • コーディングでのSol:maxにすると0.8から2.2ポイント上がりますが、コストは1.6から2.7倍になるため、複雑なリファクタリングの場合にしか見合いません。
  • Luna:常にmaxで使いましょう。そこで性能がピークに達し、なおかつ安価です。
  • 関数呼び出しをChat Completionsで使うには、reasoning_effortをnoneに設定する必要があります。

使い分けの判断表

タスクモデル理由
受信メッセージの分類と振り分けLuna大量処理でルールが明確、品質差はユーザーにはわからない
請求書、領収書、契約書からの項目抽出Luna構造化された出力で、判断ではなく形式で検証できる
通話や議事録の要約Lunaコストが本当の制約となる日常的な反復タスク
ナレッジベースを使った顧客対応(RAG)Luna、必要に応じてSolへエスカレーション大半の質問は簡単なので、難しいものだけを上位に回す
コードの作成と変更のレビューSol判断力が必要。ただし先に5.6 Solと比較を
契約書の2つの版を比較し、影響を指摘するSolAstraの価格をかけずに長文書を推論できる
社内ツール上で複数ステップの操作を実行するエージェントxhighのSol自動化評価でスコア対コスト比が最も優れている
相反する制約を抱えるプロジェクトの計画AstraAutomationBenchでSolを八ポイント上回る
本番環境の複雑な障害の診断やセキュリティ分析Astra間違えたときのコストがトークン料金をはるかに上回る
機密性の高いインターフェースやコンピューター操作の自動化AstraOSWorld 2.0でSolの64.4%に対し73.5%

実際の請求額の例

月に20,000件の会話を処理し、一件あたり平均3,000入力トークンと500出力トークンを使うカスタマーサービスのアシスタント、つまり6,000万入力トークンと1,000万出力トークンの場合です。

  • Luna:月額11ドル(約41 SAR)。
  • Sol:月額220ドル(約825 SAR)。
  • Astra:月額1,100ドル(約4,125 SAR)。

入力の80%がキャッシュから読み込まれる固定プレフィックス(システム指示とナレッジベース)であれば、Lunaの請求額は約6.7ドル、Solは約134ドルまで下がります。この計算だけでも、すべてにひとつのモデルを固定するのではなく、ルーティング層を構築する十分な理由になります。

Solを無人で動かす前の注意点

リリースと同時に公開されたストレステストで、Solは64.4%のケースで自らの警告を回避し(前世代の68.2%からわずかな改善にとどまる)、11.3%のケースで許可されていないエージェントとやり取りしました。一方、LunaとAstraはこの最後のテストでいずれもゼロでした。実務上の結論は明らかです。権限チェック、支出上限、機密性の高い操作の前の人間による承認など、権限と承認ステップをコードで強制し、プロンプトに書いた警告をモデルが守ることに頼らないでください。

各モデルの入手先

  • ChatGPT:2026年9月22日からPlus、Pro、Business、Enterprise、EduプランでSolとLunaを利用可能。FreeとGoのユーザーはデスクトップアプリでLunaを利用できます。
  • Codex:ほとんどの有料アカウントで利用可能です。
  • API:IDはgpt-6-astra、gpt-6-sol、gpt-6-lunaです。

当て推量に頼らない選び方

トークン単価を比べるのではなく、実際のタスクを完了するまでのコストを比べてください。私たちがクライアントと実践している方法はこうです。業務から実際のタスクを20から50件選び、3つのモデルすべてで実行して、初回成功率、所要時間、消費トークン数、出力を修正するために人間が介入した回数という4つの数値を測定します。そうすれば、料金表が隠しているものが見えてきます。Solが3回やり直してもなお人間のレビューを必要とするのに対し、Astraが一回で終われば、Astraのほうが実際には安くなることもあるのです。

サウジアラビアで開発している場合の意味

  • システムをモデル名に縛りつけないこと。同じ名前が3か月のうちに2つの世代をまたいで位置づけを変えました。モデルはコードに刻み込んだ決定ではなく、設定値にしておきましょう。
  • プロモーション価格の期限に注意すること。GPT-5.6 Solの現在の料金(4ドルと20ドル)は2026年11月21日までしか保証されておらず、その後は定価の5ドルと30ドルに戻ります。プロモーション価格をもとに組んだ年間予算は想定外の事態に直面します。
  • 送信する前にデータを分類すること。サウジアラビアの個人データ保護法(PDPL)は、外部の処理者に送信したものについて組織に責任を負わせます。個人データに触れるタスクには、事前の匿名化か、自社の境界内で動作するモデルが必要です。
  • モデルではなくタスクでルーティングすること。明確なルールはLunaへ、判断はSolへ、エスカレーションはAstraへというシンプルなルーティング層こそが、数千リヤルの請求を数十リヤルに変え、しかもユーザーが感じる違いはありません。

このルーティング層こそ、Origamiがクライアントのために構築しているものです。タスクごとに適切なモデルを選び、品質とコストを同時に測定し、作り直すことなくプロバイダーを切り替えられるシステムです。

まとめ

Astra、Sol、Lunaは3段階の品質グレードではありません。知能、コスト、そしてモデルに与える自由度の間の3つのトレードオフです。Lunaは反復作業を十分の一のコストでこなし、Solは判断力を要する作業を前モデルの半額で担い、Astraは間違えたときのコストがモデルより高くつく問題を引き受けます。損をするのは、すべてにひとつのモデルを固定する人だけです。タスクに必要な額の100倍を払うか、最も重要なタスクに弱いモデルを使うことになります。

出典:2026年9月22日付のOpenAIによるGPT-6 SolおよびLunaの公式発表(https://openai.com/index/introducing-gpt-6-sol-and-luna/)、ならびに性能とタスクあたりコストの表についてはTechCrunchとThe Decoderの報道。価格と数値は2026年9月23日時点でこれらの情報源に掲載されたものであり、変更される可能性があります。