自社のアプリ、ウェブサイト、社内システムをAIツールで作った場合、あるいは開発者がそれらを使っている場合、サウジアラビア・データ人工知能庁(SDAIA)が 2026 年 4 月に公表した「Vibe Coding(バイブコーディング)」指針は一つの明確なルールを定めています。AIが生成したものはすべて、人がレビューし、検証し、正式に承認するまでは未承認の下書きだということです。指針は 57 ページで、政府と民間の双方の技術チームを対象とし、4 つの主要リスクと 6 つの本質的な限界を挙げ、コードが顧客に届く前に人が介入すべき 5 つのポイントを定めています。この記事では、それを今週チームや委託先に聞ける実践的な質問に置き換えます。
SDAIAの定義によるバイブコーディングとは?
指針はバイブコーディング(アラビア語で「al-barmaja al-tawlidiya」、生成的プログラミング)を、利用者が望むことを普段の言葉で説明し、AIツールがコードを書く手法と定義しています。さらに書くことにとどまらず、エージェント型AIと呼ぶものにまで踏み込みます。コードの構築、テストの実行、デプロイの管理を自ら行うツールで、重要な判断は人が導きます。
指針は利用を 3 つの領域に分けています。デザインとユーザー体験(アイデアとプロトタイプ)、プログラミング(コードの作成と改善)、テスト(テスト計画、テストデータ、障害分析)です。マイクロソフトはこれらのツールが社内で作られるコードの約 30% を生成していると述べ、グーグルは新しいコードの約 25% をAIが生成し、マージ前に人がレビューしていると述べている、と指針は引用しています。メッセージは明確です。最大手の企業は毎日これらのツールを使っていますが、それはレビューの仕組みの中でのことです。
最も重要なルール:AIの出力は下書き
指針の最初の定義は「AIが生成した下書き」です。システムが生成した出力はすべて、人によるレビュー、検証、承認を経るまで未承認の初稿のままです。「Human-in-the-loop」(人間がループに入る)原則を、その手法の中で必須のガバナンス原則と位置づけています。さらに、AIツールに業務上、法律上、または商業上の大きな影響を及ぼしうる実行権限が与えられる場合、人の介入は必須になると付け加えています。
経営者の言葉で言えば、AIツールが誰の承認もなくアプリの更新を公開したり顧客データベースを変更したりできるなら、それこそ指針が警告していることです。念のため言えば、この指針はガイダンスであって罰則のある規則ではありません。しかし、これらのツールの「責任ある利用」とは何かについて、現時点でサウジで最も明確な公式の拠り所であり、国家AIリスク管理フレームワークを補完するものです。
指針が挙げる 4 つのリスクと、プロジェクトでの現れ方
- ハルシネーション:一見しっかりしたコードが、存在しないAPIを呼び出したり、架空またはサポートされていないパッケージやライブラリを勧めたりします。結果として他のシステムとの連携エラーが起き、誰かが提案されたパッケージを確認せずに名前だけでインストールすれば、セキュリティホールになる可能性もあります。
- 過信:生成されたコードをセキュリティや機能のレビューなしに受け入れたり、顧客が使う本番環境にそのまま移したりすること。
- 表面的な網羅:脆弱性を見落とす一般的なセキュリティ分析や不完全なテストが、すべて順調だという誤った安心感を与えます。
- 非決定的な出力:同じプロンプトでも毎回違うコードが出るため、結果の再現や監査が難しくなります。
AIが保証しない 6 つのこと
指針は 6 つの本質的な限界を挙げています。AIは事業の意図を、あなたが明示的に書いた範囲でしか理解しません。組織固有のリスクや優先順位を評価できません。アーキテクチャの思考や設計判断の代わりにはなりません。コードが正しいこと、実際の利用に適していることを保証しません。常に同じ結果を出すとは限りません。そしてその出力は、正式なテストの証拠でも、実際のテストの代わりでもありません。指針ははっきりと、検証・テスト・承認の責任は「全面的に人にある」と述べています。
コードが顧客に届く前の 5 つの人によるチェックポイント
- すべてのコード変更を、メインブランチにマージする前にレビューする。
- すべてのリリースについて、デプロイ前に準備状況を評価する。
- デプロイまたはロールバックの判断を監督する。
- 本番環境での想定外の挙動を説明する。
- 開発計画と長期的な技術ロードマップを承認する。
今週、開発者や委託先に聞くべき質問
- AIが書いたコードをマージ前に誰がレビューしていますか。すべての変更にレビューの記録がありますか。
- テストは実際にシステム上で実行されていますか。それともツールがコードは動くと「言った」だけですか。
- AIツールにはどんな権限がありますか。デプロイや本番データベースへのアクセスはできますか。(攻撃者のコマンドを実行したコーディングエージェントに何が起きたかをご覧ください。)
- テストデータは合成データですか。指針はプライバシーのルールに従い、実データや機微なデータの使用を防ぐテストデータを求めており、顧客の個人データにとって重要です。
- リリースを公開前に誰が承認し、問題が起きたときに誰がロールバックを決めますか。
この五つの質問のうち三つに明確な答えが得られないなら、問題はAIツールではなく仕事の進め方にあります。新しい開発パートナーを選ぶ際は、これらの質問をソフトウェア会社の選定基準に加えてください。
Origamiの見解
私たちはデザイン、プログラミング、テストでAIツールを使っています。顧客の時間を実際に節約できるからです。しかし、それらが書いたものはSDAIAの指針が述べるとおり、下書きとして扱います。すべての変更は開発者のレビューを通り、テストは実際に実行され、実際の顧客データがテスト環境に入ることはなく、デプロイの判断は人が下します。レビューのないスピードは、後で障害やセキュリティホールという形で代償を払うことになります。AIでプロトタイプを作り、それを顧客が頼れるシステムにしたいとお考えなら、ぜひご相談ください。
出典
よくある質問
SDAIAのバイブコーディング指針は自社に義務として適用されますか?
この指針はガイダンスであり、罰則のある規則ではなく、政府と民間の技術チームを対象としています。それでも、AIによるプログラミングツールの責任ある利用についてサウジで最も明確な公式の拠り所であり、その手法の中で人によるレビューを必須のガバナンス原則と位置づけています。
開発者なしでAIだけで完全なアプリを作れますか?
アイデアを試すための簡単なプロトタイプなら作れます。顧客が頼るシステムについては、指針はAIがコードの正しさや実用性を保証しないこと、検証・テスト・承認の責任は全面的に人にあることを述べています。公開前にレビューする開発者が必要です。
AIが書いたコードの最大のリスクは何ですか?
指針は 4 つのリスクを挙げています。存在しないライブラリやAPIを提案するなどのハルシネーション、セキュリティレビューなしで本番環境に出す過信、分析とテストの表面的な網羅、そして毎回変わる出力です。
開発者がAI生成コードをレビューしていることをどう確かめればよいですか?
指針の 5 つのチェックポイントについて尋ねてください。マージ前の全変更のレビュー、リリース準備状況の評価、デプロイまたはロールバックの承認、想定外の挙動の説明、開発計画の承認です。レビューとテストの実行を口約束ではなく記録に残すよう求めましょう。







